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認知症の専門医はどこに (2) [専門医療]

このブログを見ていただく中で、最近特にアクセスが多いのが、
「認知症の専門医はどこに?」の記事。

親や配偶者が認知症かもしれない・・・ということで、
どこの病院に行けばいいのか、必死で情報収集される方が多いのではないかと思います。現在NPOをやっているのも、まさにこうしたニーズに事業や相談サービスとして、応えたいということからなのですが、残念ながら事業としてこうした声に応えることはできていません。しかし、事業化まで待つことができない方も少なくないので、このブログを通じてこれまで得られた知見やコツを整理して、お伝えしていこうと思います。

前回のエントリーで紹介したのは、医療機関を検索するサイトでした。

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日本老年精神医学会     とうきょう認知症ナビ

これは、まず調べるとっかかりとしては、役立つサイトです。

しかし、ここで注意しなくてはいけないのが、認知症を診る医師には、様々な種類があり、
ここに掲載されているからと言って、今困っている状況に適した医師とは限らないのです。

例えば、診療科で言えば、精神科、神経内科、脳神経外科、それから一般の内科などがあります。
また、国が進めている体制では、日頃の診療をしながら認知症の人も診る「かかりつけ医」、地域のかかりつけ医を指導する立場にある「サポート医」、そして、認知症を扱う学会が認定した「専門医」がいます。

日本老年精神医学会のサイトに掲載されているのは、主に、精神科の専門医です。
とうきょう認知症ナビは、東京の「かかりつけ医」と「サポート医」を掲載しています。

かかりつけ医は玉石混交
認知症に対応できる医師として掲載されている人の中には、必ずしも知識や診療経験が十分でない人も少なくありません。例えば、「かかりつけ医」として掲載されている医師は、かかりつけ医認知症対応力向上研修という1日の研修を受講しただけですので、その中には日頃熱心に認知症の人を見ながら勉強している内科医もいれば、医師会のつきあいで受講しただけでほとんど知らない医師も含まれます。

サポート医≠専門医
ならば、かかりつけ医を指導する立場にある「サポート医」というのが、安心かというと、これも落とし穴があります。「認知症サポート医養成研修」というのを受けていれば、専門でなくてもなれてしまうのです。そもそも認知症を専門とする医師が県に数人しかいないということもあり、そのフォローができる人ということで、地域の顔役の医師がサポート医を引き受けている地区もあります。

専門医は安心できるのか
ということは、最後は専門医に頼るしかないのか、ということになりますが、それも必ずしも最適なのかは分かりません。というのも、認知症の専門医と呼ばれる医師の数は少なく、受診を希望する人が多いため、予約が数ヶ月待ちということもあります。また、遠方の大学病院で頻繁に通えないため、日々の生活の様子のモニタリングができず、適切とは言えない治療方針が続くことも少なくありません。認知症かどうかの診断に、専門病院に行くことは必要かもしれませんが、その後、かかりつけのクリニックとの連携なしに大学病院などに通うことがあまりよい結果をもたらさないことも多いのです。

ではどうすればいいの?
認知症は薬を飲むと、すっかり元通りになるという病気ではありません。そのため、長年医療ではなく、介護の領域として考えられていて、医師が果たす役割が軽視されてきました。そのため、認知症のことをきちんと理解し、介護や家族と連携しながら生活を支えるという視点を持った医師の数が絶対的に不足しています。その意味で、認知症を診れる医師の数が少なく、地域内にそうした医師がいない地域というも多くあると思います。上記のサイトの地域の医師のリストを参考に、ホームページや診療でのやりとりなどをもとに、認知症への理解や経験について判断するしかないのが現状です。

希望の光は・・・
ただ、最近の希望の光がひとつ見えてきています。
地域で訪問診療に積極的に取り組む医師が増えてきました。認知症の専門とされる精神科の医師でなくても、日々、認知症の方と接しながら、勉強を続け、生活を支える医療を実践する医師が増えてきました。私も、ここ数年、各地でこうした方たちにお会いする機会が増えてきたように思います。体の健康診断などとともに、こうした方に家に来てもらうことは、ファーストチョイスとして考えていいのではないかと思います。







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コメント 2

lewy

本当の認知症専門医は、非常に少ないでしょう。
私が考える認知症専門医は、日常遭遇する可能性が高い、認知症の原因とその診断法・治療法を熟知していることです。
認知症の原因として
1、アルツハイマー型認知症
2、レビー小体型認知症
3、ピック病
4、脳外科的認知症(手術で治る可能性がある認知症。具体的な病気として、慢性硬膜下血腫・正常圧水頭症・脳腫瘍など)
番外として、脳血管性認知症となります。脳血管性認知症はその定義により頻度が大きく変わります。脳梗塞が検査で見つかったから脳血管性認知症とすぐ言えません。
ただ、アルツハイマーやレビーに合併することが多く、症状を重く、多彩にしていることが多いです。
これらを、症状とその発言の仕方及び、改定長谷川式認知スケールや時計描画テストの結果だけで、ある程度診断できる医師を、認知症専門医と呼ぶということです。
CTやがMRIなどの画像診断は、それを確認するために行うのであり、脳外科的認知症を除外する目的以外、必ずしも必要な検査ではありません。
典型的な症例なら、症状と本人の面接で十分判断できます。このためには、介護者からの情報が重要です。家族の話を聞かない専門医は、適切な診断と治療ができないと考えて、ほぼ間違いないでしょう。
これが可能な本当の専門には、全国レベルでも100人いるかどうかと言うのが、本当の認知症専門医の多くの方の意見です。ですから一般の方が、キチンとした認知症治療を受けられる確率は、非常に少ないのが現状だと思います。

by lewy (2011-01-30 11:53) 

toku-chan

lewyさん コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、本当の専門の方は少ないのが事実ですね。
専門を増やすのは難しいので、臨床を担う医師の方の底上げが必要だと感じています。
by toku-chan (2011-04-15 17:18) 

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