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認知症フレンドリージャパン・サミット2014  [DFJI]

7月にイベントをやります。

その名も、認知症フレンドリージャパン・サミット!

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最近、新聞やテレビで認知症のことが取り上げられない日はないというくらい頻繁に目にします。が、その取り上げられ方や、世の中で漠然ともたれている問題の定義と対応策の考え方には、私はとても違和感を持っています。

例えば・・・
最近のニュース、「認知症の人の鉄道事故で家族に賠償命令」
そして、「認知症で行方不明1万人」という話題。

”認知症の人が増えて大変なことになっている”
”認知症になると「はいかい」するから危ない”
”介護施設も足りないらしい”
”行政や専門家は何をやっているのだろうか”
”自分は認知症にならないように、予防の体操をしよう”
そんな声が聞こえてきそうです。

事故だけを減らすのであれば、認知症の人を隔離したり、24時間監視下におけば済むかもしれません。鉄道事故死で亡くなった人を支えていた家族に賠償命令を下せば、認知症の人はみんな施設に入り、プロの介護者の下、事故は減るかもしれません。

現在、世の中が、なんとなくのイメージに動かされて、向かっている方向は、「認知症対策社会」ではないかと思います。認知症によって引き起こされる課題のうち、事件や事故になっている部分だけを切り取り、”有識者”や専門家が対策を考える。鉄道事故だけ考えれば、認知症の人が外に出ないようにしたり、線路に入れないようフェンスを強化するとか、そんな対策が見いだされることでしょう。

でも、事故の背景にある、認知症になっても、自分の好きなところに出かけたい、家族や友人のところに会いに行きたい、地域へ出かけて行って誰かの役に立ちたいという気持ちはどうなるのでしょうか?顕在化している事故の対策だけを考えたり、裁判で責任の所在を決めるだけで、果たして本当の問題解決になっているのでしょうか。”有識者”あるいは、医療や法律の専門家は、全体像を掴んでいる真の専門家なのでしょうか?

「認知症対策社会」では、
認知症対策の専門家が養成され、認知症の人が「問題」を起こさないようにする対策を立てます。

「認知症対策社会」では、
企業は、認知症の人を抱える家族や介護スタッフの不安を解消するために、認知症の人を地域から隔離するための場所を作ったり、「はいかい」防止のブザーや監視するためのカメラやGPSを開発したりします。

「認知症対策社会」では、
地域の人は、公的なサービスで届かない部分(インフォーマルサービス)を補うことが期待され、「はいかい」する人を探す模擬訓練に関心のない人までが動員されます。

誰もが認知症になるかもしれないのに・・・こんな社会でよいのでしょうか?

これまで、5回のフューチャーセッションを通じて、300人近い様々な立場の人と、認知症の課題について、対話を重ねてきて見えてきたのは、まったく異なる展望でした。イメージするものがこの言葉だけで、伝わるかどうか分かりませんが、それを「認知症フレンドリー社会」と呼ぶことにします。

「認知症フレンドリー社会」では、
認知症の課題を考えるのは、”専門家”ではなく、認知症の人も参加し、
誰もが認知症になるかもしれないというジブンゴトで、対話し、何が問題なのか、
解決にあたってどのような原則が大事なのかを考えます。

「認知症フレンドリー社会」では、
企業は、社会を構成する一員として、生活を形作る商品やサービス、システムで何ができるのかを考えます。例えば、「はいかい」を止めたり、監視をするのではなく、認知症であっても、安全に自由に移動できる交通システムや、好きな時に、買い物ができる決済のシステムかもしれません。

「認知症フレンドリー社会」では、
地域の人は、行政サービスを補う人ではなく、地域の人々の暮らし方をデザインする主体であり、行政サービスがそれを補う役割となります。地域に住む認知症の人と顔を合わせる関係があり、日々起こる出来事に対し、地域の人が自然と動くような関係が生まれていきます。地域のつながりは、時に発展して小さな会社やNPOが生まれるかもしれません。

誰か偉い人が答えを持っていて、それを分担して実践するだけならば、そんな簡単なことはない訳ですが、認知症の課題は、そんなことでは解決しません。大事なことは、認知症の課題にだけ資源を集中することではなく、認知症の人も(”が”ではなく)暮らしやすい地域や社会を、みんながジブンゴトとしてとらえ、動いていくことではないかと思います。

既に私の周りにも、このことにいち早く気づき、動き出している認知症の当事者、自治体職員、企業、NPOや福祉関係者がいます。
認知症フレンドリージャパン・サミットは、こうした意識を共有できるみなさんで集まり、課題を共有しながら、これからの社会を考えるのに、大切にされるべき原則は何なのか、その原則の下で、自治体・企業・NPOなどのセクターを超えて協力して、どのような変化が起こせるのかを考える場です。今回が記念すべき第一回目ですが、今後毎年開催し、優れた取り組みを発表したり、一人や一組織では難しい課題に一緒にチャレンジする仲間を募る場に発展させていきたいと考えています。
もしかすると、この場で話し合ったことが、日本や世界で、認知症フレンドリーの基準や原則のたたき台になるかもしれませんし、その基準の下、政策が作られたり、商品やサービスが開発されていくことになるかもしれません。

もちろん、今回が一回目ですので、今後どのように発展していくか分かりません。
逆に言えば、今回の参加される方の意識やその後の関わり方によって、この場がどのように発展していくが決まるとも言えます。単に情報収集したいという方や、名刺交換をしたいというような方には、あまり向かない場かと思います。それぞれの最前線で真剣にこれからを考えている方にとってはまたとない機会になると思いますので、ピンと来た方は、ぜひご参加ください。

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DFJS 2014
認知症フレンドリージャパン・サミット2014

主催 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ
   http://www.dementia-friendly-japan.jp/
共催 国際大学GLOCOM社会イノベーションラボ
   富士通研究所
   認知症フレンドシップクラブ 

<7月5日(土)> 
シンポジウム 14:00〜17:30
「認知症の人の声をどのように社会に反映させるのか」
場所 二子玉川ライズ・カタリストBA(定員100名)

認知症の人の声を聞く場は、少しずつ増えているものの、自治体・企業・NPOなどの各セクターが、それを活かして、どのように社会を作って行くのかが問われています。各現場の最前線からの報告をもとに、みなさんで考えます。

<7月6日(日)> 
パラレルセッション 10:00〜16:00
「認知症フレンドリー社会のデザインとは?」
場所 アーツ千代田3331(定員100名)

移動・交通、衣食住、コミュニケーション、デザイン、政策、コミュニティ、ジェンダー、QOL、認知症フレンドリー指標など12のテーマに分かれた分科会を開催します。

詳細は、下記まで
https://www.facebook.com/events/1582819365277009/
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