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医療に競争は必要か? [書籍]

「医療に競争は必要か?」

こうした問いに多くの人は、
「医療に市場原理はなじまない」
「命はお金では換算できない」
「アメリカの医療が競争の弊害を物語っている」
といった競争に否定的な見解を持っていると思います。

しかし、経営学の大家、マイケル・ポーターは、こうした見解に否と言います。
国にすべてを委ねても多くの問題は悪化するだけ。
むしろ、どういう部分で競争をするか、競争の質に注目すべきだと言います。

医療戦略の本質―価値を向上させる競争

医療戦略の本質―価値を向上させる競争

  • 作者: マイケル・E. ポーター
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2009/06/11
  • メディア: 単行本

著者は、医療システム全体に、診療実績に基づく競争を起こすことで、
医療の提供体制や提供方法を改善しようとする取組みが劇的に
医療の質の向上とコストの削減を達成できるとしています。

評価は、支出あたりの患者にとってのアウトカムということになりますが、
単に患者が生存したかということよりも複雑で、回復に要した時間、生活の質、
治療中の精神状態なども関わるとしています。

この本を読んで、概ね私はこの見解に賛同します。
歴史的に、日本は国民皆保険で、フリーアクセスの高い医療を提供してきたというのは事実で、昔はよかったという人がいるのは理解できます。しかし、少子高齢化と医療の高度専門化(設備投資の増大と、国民の期待値上昇)というトレンドの中で、診療報酬改訂などの微修正は機能していません。自分の受けられる医療には、どのようなものがあり、どのようなことが期待されるのか情報にアクセスをできるようにして、高い費用対効果の医療を選択できるようにすることで、医療サービスに早いフィードバックがいく仕組みにしないといけないと思います。

結局、診療報酬や介護報酬を通じた政策というのは、費用を誰に転嫁するのかという、ゼロサムゲームです。今、必要なのはニーズに対応したサービスを素早く普及させ、競争のルールを変える社会イノベーション(ポジティブサムゲーム)だと思います。

適切な認知症医療や認知症ケアが広がらないのは、個人の努力や個々の経営主体のせいではありません。認知症の診療に時間がかかったり、暮らしの質を改善しても、情報も評価もされないからです。認知症の人と家族への情報提供や相談に取り組む中で、社会イノベーションにつながる、そういった活動につなげていきたいと思っています。
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