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介護における「知識」と「知恵」の違い [スマートエイジング]

知識と知恵の違い
様々な定義があるようですが、
多くに共通するのは、以下のようなことだと思います。

「知識」 ある事柄について知っていること
「知恵」 ある問題があった時に、方針を立て、手持ちの情報を活用できる能力


「専門家」=知識の専門家
この違いについて、これまで強く印象に残っているのは、
NHK時代に取材させていただいた借金問題の領域で活躍する吉田猫次郎さん(ペンネーム)です。
http://www.nekojiro.net/

借金に悩む人の相談先としては、法的整理ならば弁護士、経営に関係していることならば、経営コンサルタントや中小企業診断士、税理士といったところですが、その人の抱えている借金の問題は複合的でひとつの専門性では不十分なことが多く、専門家と呼ばれる人は得意としている解決方法によせて問題を解いてしまう傾向があります。

それに対して、猫次郎さんは、自身親の経営する会社の連帯保証人になったことから、多額の借金を抱えた体験者で、銀行とのハードな交渉やヤミ金での監禁などを体験しました。現在はその経験をもとに、本を書いたり、借金に悩む経営者の相談にのる活動をしています。全国を飛び回って「専門家」と言われる人たちへの講演もこなされています。

「専門家」と言われる人は、知識があるかどうかを判断するテストに受かっている訳ですが、それを運用したり、総合したりする能力、つまり知恵を持っているとは限りません。もちろん、最低限、知識を持っていることを担保するために、こうした資格は必要ですし、意味のあるものだと思います。

しかし、人生に起こりうる問題の多くは、1つの専門性で解けることは稀で、複合的なもので、知識と知恵の違いが非常に重要になってくるのです。

介護における「知識」と「知恵」
さて、介護の世界に目を向けるとどうでしょうか?

私には、上述の「借金」の問題と全く同じ風景が見えます。

一般には、介護に関係する相談事は、「専門家」に相談すれば解決すると思われています。
それは、例えば、ケアマネジャー(介護支援専門員)であったり、地域包括支援センターと呼ばれるところだったりします。

もちろん、そうした「専門家」の中に、知識だけでなく、知恵を持った方も少なからず存在します。
しかし、残念ながら資格を持っているというのは、知識を持っているかどうかを担保するものであり、知恵の有無を担保するものではありません。借金の問題において、あまり最適な解決策と言えないけれど、弁護士さんに相談したばっかりに、法的整理をすることになってしまうというようなことがあるそうですが、介護についても同じようなことが起きています。問題の解決にはならないけど、上限まで介護サービスを入れるプランを勧められたたり、あまりよく知らない領域のことにまで首を突っ込み、問題を悪い方向へ誘導するということもしばしば起こります。

介護に関する悩みを、総合的に受け止めることができるのは、時に、介護を体験した人であることがあります。行政窓口へどのように言うとスムーズに事が運ぶのか、医療と介護がうまく連携してもらうにはどのように働きかけたらいいのか、支援の制度を利用するにはどこへ行けばいいのか、介護で心理的に追いつめられたら、どうすればいいのか・・・介護家族の人たちは、こうした知恵の宝庫です。しかし、一方でそうした知恵は、あまり広く活用されずに埋もれてしまっているという現実もあります。

スマートエイジングで一緒に仕事をしているパートナーである小黒信也さんは、介護の仕事をこれまでしてきた一方、仕事をしながら、認知症の父親を介護し、看取ったという経験を持つ方です。そういう意味で、知識と知恵を兼ね備えた数少ない人です。
彼のブログには、知識だけでなく、それを運用する知恵が詰まっています。
http://mirai-kaigo.sblo.jp/
介護離職させない.jpg

事業を通じて、知恵を持った人の知恵がシェアされる仕組みを広げ、
介護をめぐる知恵の流通を変えていきたいと思っています。
スマートエイジング社会とは、知恵が広く流通する社会なのだと思います。




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