介護で仕事を辞めようと考えているあなたへ [介護離職]
家族の介護で仕事を辞めようと考えているあなたへ
親や配偶者の介護によって、これまで当たり前のように
こなしてきた仕事や生活が回らなくなり、とても戸惑われていることと思います。
体力的にも、精神的にも限界を感じているのではないでしょうか。
あらかじめ言っておきますが、「介護で仕事を辞めてはいけない」という訳ではありません。
どのような判断をされるかは、あなたご自身で決めることであり、
ご自身で判断されたことこそが最も望ましい選択であると考えます。
そのことを前提にした上で、敢えて言わせてください。
今、仕事を辞めようと考える理由は何ですか?
もし、「介護をきっかけに新しい生き方を見つけたいから」
ということであれば、ぜひ、そうしてください。
しかし、もし、
「会社に迷惑がかかるから」
「自分が介護をするしか方法がないから」
「専門家に辞めるように勧められたから」
という理由であれば、もう一度だけ考えてみてください。
「会社に迷惑がかかるから」というのは、
仕事を辞める方のほとんどが口にする理由です。
確かに、不定期で仕事を休んだり、残業ができなかったりすれば、
職場の同僚がカバーすることになり、一時的に迷惑となることもあるでしょう。
しかし、本当に会社に迷惑になるのでしょうか。
子育て中の社員が、労働時間を短くしたり、子どもの急な発熱で半休をとったりすることは、ある程度当たり前のことと思われているのに、介護では同じようなことは認められないのでしょうか?事前に職場にどのように伝えるのか、個人で仕事を抱え込まずどうすればチームで仕事ができるのか。誰に、どのような迷惑をかける可能性があるのかをひとつひとつ検証し、職場でのコミュニケーションや働き方を見直せば、迷惑にはならないケースがほとんどだと思います。
「自分が介護をするしか方法がないから」というのも、
よく耳にする言葉ですが、これも本当にそうでしょうか?
介護に始めて直面した方とお話をすると、
一緒に暮らして全部面倒を見るか、介護施設に入れて全部おまかせという2つの選択肢だけという二者択一のイメージをもった方が結構います。
実際には、一緒に暮らしているけれど、日中は訪問介護やデイサービスを利用して、自宅で顔を合わせるのは夜だけという人もいれば、介護施設には入っているけれど、毎日顔を見に行って、身の回りのお世話をしているという人もいます。介護サービスには、様々な種類があり、0か100かではなく、その間に無数の組み合わせが存在します。
制度は非常に複雑で、頻繁に制度改定もあるので、分かりにくいこと、この上ないのですが、希望される暮らしを考えて、組み合わせを複数検討してみましたか?
「自分が家で介護に専念したい」ということならばいいと思いますが、
「〜しかないから」という理由は、たいていの場合、他の選択肢を知らないうちに排除してしまっている可能性が大です。
「専門家に勧められたから」というのは、
もっともやっかいな理由のひとつです。
介護の場合、「専門家」というのは、
ケアマネジャーや地域包括支援センターの人が多く、時々医師や看護師だと思います。
専門家だし、すごく親身になってくれる人が言うことなので、間違いないだろうと思うのも、無理はないですが、介護だけを理由に仕事を辞めることを勧めるようであれば、もはやその人は専門家ではりません。
確かに、介護保険制度の専門家であったり、医療の専門家かもしれません。
しかし、仕事との両立の専門家でもなければ、生き方の専門家でもありません。
介護と仕事を両立する手段は無数にありますし、どのような生き方をするかは、あなた自身に委ねられるべき問題です。介護や医療の専門家に、生き方を委ねるのは辞めましょう。
そうは言っても、もう精神的に追いつめられて、
ヘトヘトで、クタクタで、とにかく休みたい。
だから仕事を辞めるんです。
という方もいるかもしれません。
その場合は、辞めるのではなく、介護休業を取ってください。
そんな制度、うちの会社にはない・・・と思う人もいるかもしれませんが、
法律で、全ての会社に、93日の介護休業を設けることが義務づけられています。
社内規定になかったとしても、休業をとる権利は発生しています。
どうせ辞める覚悟なのであれば、休業を取って体制を立て直しましょう。
その間に、頭をすっきりさせて、介護サービスの組み合わせを検討し、試してみて、仕事と両立できる手応えを持つことができます。もし、どうしても巧くいかなければ、その時は辞めればいい・・・と思えば、休業をとってみる気が湧いてきませんか?
「もてるためには、ダイエットして痩せないといけない」
「金持ちにならないと幸せになれない」
「借金が返せなくなったら、自殺するしかない」
これらは、全部思い込みです。
目的を達成するためには、他にいくらでも手段はあります。
「介護が必要になったら、仕事を辞めないといけない」
というのも、同じくらいの思い込みです。
思い込みを捨て、もう一度だけ、考えてみてください。
*** この文章は、介護と仕事の両立を支援する立場から、介護離職を検討されている方たちへ向けてあてたメッセージです。介護離職された方への非難や批判を意図したものではなく、望まない形の介護離職をゼロにするため、あえて呼びかけ調で、強い表現を使わせていただいていますので、ご理解いただければと思います。
コメント 0